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Xbox One「Forza Horizon 2」、初の拡張パック「Storm Island」インプレッション

腕利きでも大破不可避?“酷道”だらけの島でド迫力オフロード祭り!

泥んこレースの始まりだ!

 12月16日、発売から2カ月あまりが経過したXbox One用レースゲーム「Forza Horizon 2」に、初のエキスパンションとなる「Forza Horizon 2: Storm Island」が登場した。価格は2,160円で、VIPメンバーは半額の1,080円。これまでのカーパックと比較するとなかなか値の張るDLCだが、本作で追加される過酷な島で楽しめるレースやチャレンジは「Forza Horizon 2」本編に輪をかけて骨太かつ、遊びごたえのある内容だ。さっそく実際にプレイしてみたところのインプレッションをお届けしよう。

悪路と悪天候という2つの試練がもたらす迫力とスキル。ドライバーの腕を大きく磨く!

「Storm Island」へようこそ。今日も今日とて大雨です
見渡す限りの自然。道はドロドロ

 「Forza Horizon 2: Storm Island」を導入すると本編の舞台である南ヨーロッパのニースの港から、地中海のどこかに浮かぶという新エリアへの移動が可能になる。山岳地帯で高低差の激しい地形、亜熱帯の濃密な森林、時折吹きすさぶ暴風に、叩きつけるような豪雨。ここが過酷なオフロードレースのメッカ「Storm Island」だ。

 「Storm Island」エリアは本編マップの4分の1くらいの広さで、地域のほとんどが手付かずの荒野だ。目につくのは、デコボコと大きくうねる険しい大地や、クルマ1台通るのがやっとというほどに密生する広葉樹の森。まともに舗装された道路は数えるほどしかなく、獣道じみた未舗装路が荒れ野を血管のように巡っている。草や低木の植生も濃密で、雨や霧も多い。「ここは東南アジアのどこかです」と言われても疑わないレベルである。椰子の木も生えてるし……。本編とは全く似つかない、完全に新しい環境であることは間違いない。

 こんな環境にオシャレなラグジュアリーカーは当然似合わないわけで、プレーヤーは「Storm Island」に到着するなり全30種のオフロードイベントからなる「Storm Island チャンピオンシップ」へ参戦、泥臭いオフロード仕様車に乗ってのフェスティバルが始まる。

マップ全体としては本編の4分の1くらいの広さ。レースイベントは全30+フィナーレという構成だ
木が傾ぐほどの暴風雨を受けつつ走る!
飛びすぎ!!
障害物にツッ込む!

 これがしょっぱなから激ムズである。まず走る環境が酷い。舗装路はめったにお目にかかれず、ほとんどがあぜ道だ。その上、激しい高低差のある地形が多く、車体は頻繁に宙に浮き、次のチェックポイントは丘の稜線に隠れてよく見えず、とどめに暴風雨や濃霧で視界も悪いと来た。本編のレースで簡単に1位が取れる腕前でも、この島ではしばらく悪戦苦闘すること間違いない。

 だが、それがいい。上下に揺さぶられる車体、タイヤから巻き上がる土埃、見る間に泥だらけになっていくタイヤとバンパー。トラクションを失いっぱなしのレースマシンが泥や葉っぱを飛び散らせながら、暴風雨の重い空気を切り裂きながら爆走していく。お上品な南ヨーロッパの草原では味わえない野性味である。こういう雰囲気を楽しむだけでも、本エクスパンションにはチャレンジする価値がある。

 さらにこの島だけの「Rampage」というレースルールではコース上に障害物が追加され、頭から突っ込めばそこら中に破片をバラまくなど迫力重視の仕掛けも用意。もちろん連続スキルボーナスの要となる「アルティメット・デストラクション」は狙い目だ。また、高低差の激しいコースゆえ危険な大ジャンプも珍しくなく、本編では数えるほどしかできなかった「アルティメット・エア」(最高の大ジャンプ)も、大半のイベントで狙えてしまうという有り様である。いくつかのコースでは大ジャンプしすぎて地面に垂直に落ち、自爆大破するという訳のわからない体験もできる。

 これだけの違いがあれば当然、本編でのオフロードレースを得意としてきたドライバーでも走りこなすのは難しい。1戦ごとにオフロードを走るためのスキルが向上していくことを体験できるはずだ。それに本編のオフロードレース大半とは違って、この島でのオフロードレースは本当の意味で“道がない”場所を走ることは少ない。縦横無尽に走るあぜ道が一応はコースを構成していて、本編のように農場を真横に突っ切るとか、前が全く見えなくて思わず森に突っ込むというような理不尽さは薄れている。そのおかげで、過酷なオフロードもしっかり攻略してやろうという気にさせてくれるのだ。

 ちなみに全30のレースイベントは6つのティア(段階)に分かれていて、各ティアはフリー参戦が可能なイベント4つと、次のティアをアンロックするための、いわばボス戦的な「GAUNTLET」イベントから構成されている。この「GAUNTLET」は本エキスパンションで追加された新しいレースイベントのひとつで、デカくて重くてパワフルなオフロード専用のスーパートラックを使って、長距離クロスカントリーをやるというものだ。

 これをぜひ1度、ハンドリングを「シミュレーション」に設定し、トラクションコントロールシステム等のアシストをオフにしてやってみてほしい。クソ重い車体に超高トルクのエンジン、悪天候で地面はドロドロと来れば、トラクションは無いに等しい。まっすぐ前に進むことすら難しく、コーナリングのたびに車体が180度回転しそうになる。スムーズな走行を“滑るように走る”と表現するが、これの場合“走るように滑る”という表現がふさわしい。滑る車体をせめてもの正しい方向へ導くには、正確なハンドリングと繊細なアクセルワークだけが頼りだ。

 この、地獄の「GAUNTLET」で優勝するしか次のティアへ進む方法はない。泥にまみれ、車体をボコボコにしながらでも、悪路を速く走れる方法を身につけよう。間違いなく「Storm Island」はオフロードレーサーへの挑戦状なのである。

暴風雨+泥まみれの道+夜間+障害物という試練。これがファーストレース
晴天で道が乾いている状況のイベントもきちんとある。それでも大迫力
ハイパワーオフロード車による「GAUNTLET」レース。車体が簡単に滑り、走りこなすのはかなり大変だ

「バケットリスト」まで激ムズ。まさに「Forza Horizon 2」ファンのためのエキスパンション

「バケットリスト」のチャレンジもやっぱりオフロード
オンロード車+あぜ道+夜など、悪条件てんこもりで超絶テクを要求する内容である
追加車種のひとつ、“1992 Mitsubishi Galant VR-4”

 本エクスパンションでは上述のように新ルールに基づくレースイベントが追加されているほか、フリーのツーリング中に挑戦できるミニチャレンジ要素「バケットリスト」も新たに数種類が追加されている。その真骨頂が激ムズぶりに磨きがかかる「ハードコア・バケットリスト」だ。

 この島で挑戦できる「ハードコア・バケットリスト」は、ゲーム中の表示によると全部で4つ。試しにそのうちの2つに真面目に挑戦してみたが、ムズイというか、筆者の今の腕前では全く無理なレベルでハードコアだった。ダウンヒル風のあぜ道を、全く踏ん張りの効かないオンロードカーで、10回も「グレイト・ドリフト」しながら、まっすぐ走ってもギリギリな制限時間内にゴール地点に到達するというのは、どうやればできるんだろうか? 筆者は修行が足りないらしくクリアできなかったが、このチャレンジをクリアした人は「Forza Horizon」のプロを名乗って良いと思う。

 そのほか本作では追加されたエリアに応じたロード/ボードの踏破ボーナスや、スピードトラップなども多数追加されているが、この辺りは本編と同じシステムなので特にこれといった感想はなし。新たに追加された6種類のクルマ(うち1つはシークレット、場所は地図上の範囲も全く表示されず、筆者は未発見)はいずれもオフロード向きのクルマなので、各イベントを消化していくなかで愛車に加えて乗り比べて見るのもいいだろう。

 ちなみにその中のひとつ、「2013 Robby Gordon #7 Speed Energy Drink Stadium Super Truck」は上記の「GAUNTLET」イベントで強制的に使用することになる。とてもクセが強いかわりに、乗りこなすと本当に面白いレースができるクルマなので、ぜひマスターしてみてほしい。“じゃじゃ馬”を自在に操る気持ちよさを味わえるはずだ。

 まとめとして、本エクスパンション「Forza Horizon 2: Storm Island」は、オフロードレースに徹底特化したことでゲーム本編とうまく差別化ができているだけでなく、本作をやりこんできているファンのために骨太なバランスに調整されており、本編を存分に楽しめた人でも初心に還って楽しめるものに仕上がっている。追加要素のほとんどはゲームシステム的には本編と共通であり、全く新しい遊びというものには欠けているものの、王道を行くコンテンツ拡張としては文句のつけようがない。「Forza Horizon 2」のユーザーなら手に入れて損はない1本だ。

スクリーンショット

(佐藤カフジ)