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Morpheus初の本格eスポーツゲーム「RIGS」が楽しすぎる!

3対3、人型メカで駆け巡るハイスピードチームバトル

6月16日~18日開催



会場:Los Angeles Convention Center

SCEAブースの2階部分をドーンと占領していた「RIGS」試遊コーナー。6人対戦ができるようになっていた

 SCEAのカンファレンスで初披露されたMorpheus用チームスポーツFPS「RIGS」を、ついにプレイすることができたので急ぎご報告しよう。

 E3で出展されていた他のMorpheus用タイトルはほとんどが“技術デモ”や“プロトタイプ”のような刹那的な内容が中心だったが、この「RIGS」は違う。現時点で既に対戦ゲームとして完全に遊べる内容になっており、“フルプライスのAAAゲーム”といえる完成度を見せていたのだ。

 VRでスポーティなFPSというとまだまだ未知の世界だが、「RIGS」のプレイを通じてその醍醐味と、その先に広がる未来を垣間見ることができた。

「RIGS」で搭乗するかっこいい二足歩行メカ。人馬一体の様相だ

超スポーティなパイロット体験。チームの駆け引きが熱い!

パイロット気分でプレイ中
視界はこんな感じ。コックピット内部のFPS視点だ
ステージの全体像。たくさんのルートが入り組み、遭遇戦が多く発生

 「RIGS」は、3対3でプレイする対戦型のロボットFPSだ。プレーヤーは、パワーローダーのような二足歩行メカのパイロットとなって、チームの勝利を賭けたスポーツ的な戦いに参戦する。

 今回の試遊で遊ぶことができたのは、多数企画されているというゲームモードのうち、球技風のゲーム構造を持った「POWER SLAM」というルールだ。マップの各所に配置されているパワーキューブを集めて、マップ中央のゴールに持ち帰るというものだ。

 各パイロットが操縦するマシンはスピード型、ジャンプ力型、攻撃力型の3種があり、今回筆者は攻撃力型のマシンで参戦。

 Morpheusをかぶると、そこは二足歩行メカのコックピット。横に目をやると両手に装備された大型武装が見え、少し下を見るとダッシュボード上に3Dレーダーがあり、もっと下に頭を向けると操縦桿を握る手、自分の足、自分の胸板が見える。まさにホンモノの人型マシンのパイロットになった気分だ。

 ちなみに頭を前後左右にずいっと動かすと、それに合わせてVR空間内の体も身をよじるように動くので、まるでそれが本当に自分の体であるかのような錯覚も得られる。

 こんな臨場感がある中で、味方2人と敵3人、合計5人でガチの戦いを展開するのだから、面白くないわけがない。

立体的なマップの各所で戦いが発生。ジャンプしたり、飛び降りたりしながら三次元的な撃ち合いとなる

ゴールはこんな感じ。上からジャンプで飛び込むとスコア確定
ゴール付近で待ち伏せし、敵をジャマしまくる
装備や性能はメカの種類ごとに違い、役割分担も重要になる

 操作はDUALSHOCK 4で行なうスタイルで、一般的なFPSに似ているが、方向転換とエイミングは頭の向きで制御する。この方法では、スティックでのエイミングが苦手な人でも、簡単に素早く精密な射撃ができる。いきおい、射撃能力に差が出にくいので、かわりに浮かび上がるのは索敵能力や、状況判断、位置取りといった戦術的要素だ。

 素早く周囲を見回して、敵味方の状況を確認。パワーキューブを見つけて回収し、オーバーロード状態になったらマップ中央のゴールを目指す。

 ゴールは輪っか型になっており、これにジャンプで飛び込めばパワーキューブが回収されて得点確保。ゴールに飛び込むのをジャマすれば敵の得点を阻むことができるので、当然、ゴール近辺で待ち伏せするという戦術もある。

 このためゴール近くでは遭遇戦や集団戦が頻発。ぼっちで行動しているとあっという間にやられてしまう。味方と連携できている方が圧倒的に有利だ。このため、周囲を常に見回し、状況を把握し続ける心がけがとても重要だ。

 メカの動きはキビキビとしていて速く、ジャンプ力もかなりあるため、ゲームのテンポはとにかく早い。いろいろな方向を見ながら、動きまわり、飛び回り、撃ちまくる。すごく特別な体験をしている気になれる。

 これだけめまぐるしく動くとVR酔いを引き起こしそうな感じもあるが、コックピットという基準点がしっかり存在しているおかげか、全く気持ち悪くなることはなかった。本作が「メカのパイロット」という設定を採用しているのは、その効果を狙ったものだろう。

 そうこうしているうちに、数分で操作に慣れ、パワーキューブの争奪や敵機の撃破、ゴールを目指しての高速移動などなど、eスポーツ的な駆け引きを大いに堪能することができた。

 これは多分、VRじゃなくても面白いゲームだ。それがVRであることで、さらに輪をかけて面白くなっている。プレイしているうちにだんだんと、メカと自分の間に人馬一体の感覚が芽生えてきて、勝負の本質にもっと集中できる気がするのだ。発売されたらぜひガチでプレイしてみたいと思う。

状況を把握するため、上下、左右とキョロキョロしまくるが、VR酔いの感覚はなく、快適だ

ゲームモード、操作オプションの追加など、多くの改良を経て製品版へ

これほど「ゲーム」として完成されたVRは初めての体験だった

 かなりの手応えを感じた「RIGS」だが、今回のデモには問題点もあった。

 ひとつは移動方向の操作とエイミングの機能が、Morpheusのヘッドトラッキングに両方まとめられてしまっていたことだ。これは「誰でも簡単に操作できるよう配慮」された結果の設定だが、索敵のために横を向くだけでメカの体ごと動いてしまい、感覚と違う方向に動いてしまうという感じになっていた。

 このため、移動を安定させるためには進行方向を凝視するほかなく、チラチラと周囲を見ながら前進や後退をするというイメージが実践できない。このあたり、人型メカのコックピットという設定がスポイルされているように感じられた。具体的には、エイミングはヘッドトラッキングのままで良いが、進行方向(ロボの胴体の向き)は一般的なFPSと同様に右スティックで操作するようにすべきだろう。

 もう1つの問題は、各メカが非常に素早く動き回る結果、60fpsを120fpsにリプロジェクションしているのがまるわかりになってしまっているということだ。どういうことかというと、他のメカが目の前を横切るようなとき、ヘッドトラッキングは120fpsで反映されているのに、メカは60fpsで動いているため、メカの動きに残像がバリバリに残っているように見えてしまうのだ。これはとくに中距離での撃ち合いで顕著で、違和感があった。解決するためには、ロボの位置だけでも120fpsでアップデートするような工夫が必要になるかもしれない。

Guerrilla Games、ゲームディレクターのPiers Jackson氏(中央)ら

 試遊後、本作を開発するメンバーに、そのあたりの質問をぶつけてみた。

 Guerrilla Gamesで本作の開発を統括しているゲームディレクターPiers Jackson氏によれば、現時点はまだアルファ版といった段階で、これから多くの改良や、ゲームモードの追加などを行なって製品化を目指すという。スキルレベルに合わせた操作方法のオプションを用意するというのも、今後の制作スケジュールに上がっているとのことだ。

 Jackson氏をはじめ、「RIGS」の開発メンバーはeスポーツのコアなファンが多いとのことで、ぜひ本作を本格eスポーツとして楽しめるような作品に仕上げたいと語っていた。VRならではのユニークな観戦モードのアイディアもあると、かなり興奮気味だ。

 ちなみに、PS Moveを2本の操縦桿のように見立てて操作できないか? と聞いてみたところ、現時点では考えていなかった模様。しかし「すごく興味深いアイディアだ」と答えてくれたので、もしかしたら「鉄騎」のようにダブルスティックで操縦できるオプションも追加されるかも?

 発売時期は未定だが、Morpheusのローンチに合わせるのが目標だという。ああ、はやく家でプレイしたい!

(佐藤カフジ)